変形性膝関節症とは?
- 佐久間 中央
- 2月4日
- 読了時間: 6分
更新日:3月12日
膝の痛みの原因から最新の治療法まで専門医が詳しく解説します!
膝の痛みに悩んでいませんか?特に階段の上り下りや長時間の歩行がつらいと感じる場合、変形性膝関節症が原因かもしれません。このコラムでは、変形性膝関節症の症状や原因、治療法について詳しく解説します。
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、骨同士が直接こすれ合うことで痛みや炎症を引き起こす病気です。この病気は主に加齢が原因とされますが、肥満や過去の膝の怪我もリスク要因として挙げられます。初期段階では違和感程度の症状でも、放置すると進行し、日常生活に支障をきたすほどの痛みに発展することがあります。
原因
変形性膝関節症の主な原因には以下のものがあります:
加齢: 軟骨の弾力性や修復能力が低下、また筋力が低下するため、関節が摩耗しやすくなります。
女性:閉経後にエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が減少し、軟骨の保護作用が低下し影響します。
肥満: 膝に過剰な負担がかかり、軟骨の摩耗が進行しやすくなります。
過去の怪我: 半月板損傷や靭帯損傷など、膝関節に影響を及ぼす怪我が引き金になることがあります。
遺伝的要因: 家族に同じ病気の方がいる場合、発症リスクが高まることがあります。
姿勢や運動不足: 長時間の悪い姿勢や筋力不足も膝関節に負担を与える要因です。
検査と診断
変形性膝関節症の診断には以下の方法が用いられます:
問診: 痛みの部位や症状の経過、生活習慣について詳しくヒアリングします。
視診・触診: 膝の腫れや変形、可動域の制限を確認します。
画像検査:
X線検査:軟骨のすり減りや骨の変形を確認します。
MRI検査:軟骨や靭帯、半月板の状態を詳細に評価します。
超音波検査:炎症や腫れの状態をリアルタイムで確認できます。
血液検査: 関節リウマチなど、他の疾患の可能性を除外するために行います。
診断後には、患者さまの症状やライフスタイルに合わせた治療プランが提案されます。

主な症状
変形性膝関節症の症状は以下のように進行していきます:
初期症状:
膝のこわばりやふとした時の軽い痛み。
朝起きたときや座り続けた後、歩き始める時に痛みを感じる。
中期症状:
階段の上り下りがつらくなる。
膝が腫れたり、動かす時に音がする。
進行後の症状:
歩行が困難になる。
安静時でも痛みが続く。
治療の種類
変形性膝関節症の治療法は、症状の進行度や患者さまの生活スタイルに応じて選ばれます。
1. 保存療法
湿布や痛み止め: 痛みを和らげるための一時的な対処法です。根本的な治療にはなりませんが、症状の軽減に役立ちます。
ヒアルロン酸注射: 膝関節に潤滑性を与え、痛みを軽減する治療法です。定期的な注射が必要になる場合があります。
サポーターなどの装具: 関節を安定させ、負担を軽減するために使用されます。
2. 運動療法(リハビリ)
膝周辺の筋力を強化し、関節への負担を軽減します。理学療法士による指導のもとで行うと効果的です。
ストレッチ: 筋肉の柔軟性を向上させます。
筋力トレーニング: 太ももやふくらはぎの筋肉を強化します。

3. 再生医療
再生医療は、体の自然な修復機能を利用して、変形性膝関節症の改善を図る治療法です。保存療法と手術療法の間に位置し、手術を避けたい患者さまに適しています。
PRP療法(多血小板血漿): 自分の血液を採取し、濃縮した血小板を患部に注入して、組織の修復や炎症の軽減を促します。治療は短時間で済み、入院は不要です。
幹細胞療法: 自分の脂肪や骨髄から採取した幹細胞を膝に注入し、軟骨の再生を促します。治療には一定の期間が必要ですが、手術を回避できる可能性があるため注目されています。
再生医療のメリットは、関節の根本的な修復が期待できることですが、デメリットとして費用が高額になる場合や、効果が個人差によって異なる点があります。治療の適応については専門医とよく相談することが重要です。

4. 手術療法
症状が重度で、保存療法や再生医療では改善が見込めない場合、手術療法が選択されることがあります。
人工関節置換術: 痛んだ膝関節を人工関節に置き換える手術です。術後のリハビリを適切に行えば、歩行や日常生活の質が大幅に向上します。
関節鏡手術: 小さな切開からカメラを挿入し、損傷した軟骨や骨の修復を行います。比較的負担が少なく、回復が早いのが特徴です。
骨切り術: 骨の角度を調整することで関節への負担を軽減し、痛みを改善する手術です。自分の関節を温存しながら膝の機能を維持できるため、比較的若い患者や人工関節置換術を避けたい方に適しています。特にO脚やX脚による膝の変形が強い場合に有効です。
受診するタイミング
膝の痛みや違和感を感じたら、早めの受診が重要です。以下のサインがあれば、整形外科の受診を検討してください:
歩くたびに膝が痛む:特に長時間の歩行や階段の上り下りで悪化する場合。
膝が腫れて熱をもつ:炎症が疑われるサインです。
膝の動きが制限される:正座や膝を曲げる動作が難しい。
膝から音がする:動かすたびに「コキコキ」や「ギシギシ」という音がする。
安静時でも痛みが続く:夜間や静止時の痛みは要注意です。
市販の痛み止めや湿布で改善しない:効果がなく痛みが慢性化している。
早期に受診することで、進行を抑えたり、保存療法や再生医療などの選択肢を広げることが可能になります。
予防と対策
変形性膝関節症を予防するためには、日常生活で以下の点に注意することが重要です:
適度な運動: ウォーキングや軽いストレッチで膝周辺の筋力を維持します。
体重管理: 過剰な体重は膝への負担を増加させるため、適切な体重を保つことが大切です。
正しい姿勢を保つ: 日常の動作で膝に余計な負担をかけないよう心がけましょう。

まとめ
変形性膝関節症は進行性の病気ですが、早期発見と適切な治療で症状を抑え、日常生活の質を向上させることが可能です。膝の痛みを感じたら、早めに専門医に相談し、自分に合った治療法を見つけましょう。最新の治療法や再生医療についても積極的に情報を集めてみてください。
膝の痛みに関するお悩みや治療についてのご相談は、お気軽に当クリニックまでお問い合わせください。

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